保険金額超過事故についての解説

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保険金額超過事故とは

保険料・保険金・保険金額。どれも似たような言葉ですが自動車保険においては全くの別物です。今回は保険金額のお話です。

保険金額とは保険金の支払い上限のことです。対物500万なら、500万円までしか保険金はおりません。いくら安全運転をしていても交通事故は突然やってきます。万が一500万円しか対物保険を掛けていなくてそれを超えた場合どうなるのかるのでしょうか?当然対物500万円しか加入していないのであれば、500万までしか保険金は支払われません。1,000万の損害があるのなら差額の500万は自己負担です。

しかし一番の問題は保険金額超過事故の場合保険会社は示談交渉の窓口に立てない事が、大変な訳です。示談交渉付きの自動車保険が多い中で何故自動車保険会社が窓口に立てないのかを考えて見ましょう。

弁護士法第72条

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

要するに弁護士以外示談交渉は出来ないことになっているわけです。事故に反社会勢力等が介入できない法的根拠になっています。

別段の定め

しかし交通事故は非常に多くの件数が発生しています。弁護士だけで交通事故示談交渉を回していく事は実質不可能ですね。諸々の経緯もあり、損害保険会社には損害保険会社が賠償金を支払う場合などについては示談交渉をする事が認められています。

駐車場内のちょっとした事故で請求額が10万円・・・この金額で弁護士に依頼するのはよっぽど揉めたケースぐらいです。ほとんどは損保社員が対応しています。

賠償金が支払えない
対物500万円しか保険契約がないにも関わらず、店舗等に突っ込んでしまい明らかに損害が1,000万円を超える場合等においては保険会社は損害額を確定したとしても賠償金をまとめて支払うことが契約上不可能です。500万円しか契約していない訳ですから当然ですよね。
それ故、損害の査定・検証・交渉・確定・示談書の取り交わし等が出来なくなる訳です。その場合通常被保険者に保険金額の上限をお支払いして当事者が解決していく形になります。保険会社はアドバイスは当然してくれますが、示談行為をするのは賠償金を支払う当事者になります。これは大変ですよね。

それ故、「対人対物は無制限で!」まず間違いない事実です。