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ノンフリート等級制度とは?
自動車保険にはノンフリート等級制度があります。事故があった際の損害賠償額は時に自己負担はできないほど高額です。いざという時に備えて多くの人が自動車保険に加入します。ただ運転技術は皆バラバラです。運転免許を取りたての人もいれば、10年以上無事故で運転している人もいます。
事故を起こさないドライバーと事故を起こすドライバー。同じ保険料では不公平です。事故を起こすドライバーは多くの保険料を負担するのが公平です。
自分がどれぐらい安全運転(事故を起こすリスクが低い)かを損保各社に証明する手段がノンフリート等級です。損保全社の共通制度なので、どこの会社でも等級を引き継ぐ事が出来ます。
一番悪いのが1等級・一番良いのが20等級です
自動車保険は新規で加入する際は6等級で始まります。等級をあげる唯一の手段は1年間無事故で過ごす事です。それ以外に等級をあげる手段はありません。
1年間無事故で過ごせば翌年は嬉しいご褒美を頂けます。例えば新規6等級で100,000円の保険に加入したとします。6等級の割引率は19%なので、この時の保険料は81,000円です。1年無事故なら翌年は7等級になります。割引率は30%にあがりますので、この時の保険料は70,000円です。11,000円も安くなります。ご褒美に美味しいお食事が出来る金額です。
14年間無事故をが続けば最上級の20等級に到達します。この際の保険料は37,000円です。逆に6等級で加入し2回事故を起こせば1等級になります。この際の保険料は164,000円。同じ車に乗っていてもノンフリート等級の違いで保険料は4.4倍もの開きがあります。
14年も取得にかかる20等級ですが、全自動車保険契約者の半分近くが20等級です。18歳から運転していれば30代前半には20等級です。70歳まで運転するとしても、上限の20等級でいる期間の方が長い。
割引制度は色々ありますが、安全運転で事故を起こさないのが一番効果があります。
【日本損害保険協会のホームページから引用】
契約締結後、前年の保険会社と等級データを照合する仕組みになっています。間違いがあれば、契約締結日に遡って保険料が計算し直され、追加の請求書が届きます。等級逃れは出来ません。
3等級ダウン事故・1等級ダウン事故・ダウンしない事故
交通事故を起こした場合、それは運転リスクが高いことの証明ですので、翌年は3等級ダウンします。逆に自動車の運転リスクに関係がない、搭乗者傷害・人身傷害補償保険・弁護士特約・ファミリーバイク特約の請求はしたとしても等級はダウンしません。
任意保険会社は、自賠責保険の代行会社ではありません。あくまで任意保険会社として被害者に損害賠償をします。対人事故を起こした場合は3等級ダウンです。
等級据え置き事故は廃止されました
現在1等級ダウン事故に分類されている事故ですが、以前は等級据え置きという処理がされていました。
事故がなければ、翌年は1等級あがるルールですが、この種の事故は契約者の運転リスクとは関係がありません。ほとんどが発生したら回避不可の事故です。なので、保険を使ったとしても、等級はそのままでいいですよという有難いサービスがありました。しかしながらそのサービスは廃止されました。
任意自動車保険会社は公的な使命がありますが、民間企業です。収支が悪化すれば保険料をあげないと倒産してしまいます。かつて等級据え置き処理がされていた「落書・いたずら・飛び石」の事故はとても発生件数が多い。どこの保険会社も簡易の事故処理をする集中センターを立ち上げ、作業のように請求をさばいています。飛び石によるガラス交換は国産車であれば15万前後なので、写真と見積を修理工場からもらって免責額を引いて工場に払って終わりです。見積を確認してから支払いまで30分もかかりません。それぐらいのスピードがないと終わりません。
車両盗難が発生したら、基本発見されない・発見されても車は無茶苦茶なので、全損で備金(びきん・支払い準備額)をたてます。300万の車が盗まれたら、平均修理代金の10台分以上です。台風被害で車が水没したらまず全損(ぜんそん・保険金額の全額が支払われる事故)です。
とても等級据え置きでは保険会社はやっていけません。そのような事情もあり等級据え置き事故は2012年から2013年にかけて損保全社で廃止されました。
保険料の割引効果が大きい制度
最大で保険料の63%を可能にするノンフリート等級制度ですが、20等級に到達するまで14年も待てません。自動車保険は毎年更新・毎年保険料を支払う必要があります。至高の20等級まで行く前に毎年の保険料を安くする必要があります。各種割引制度を利用して安価な保険料で最大の補償を求めていきましょう。
車両保険の免責額の設定
自動車保険料の半分は車両保険です。車両保険を契約しなければ単純に保険料は半分になりますが、給与の何か月分もする自動車を保険なしで運転するのはあまりにリスクが高い。そこで車両保険の免責額を1回目10万円・2回目10万円・車対車免責0円特約を付けないとする事で保険料を大幅に節約できます。
10万以下の損害であれば保険は使わない。(正しくは使えない)割り切りが必要ですが、こうする事で大幅に保険料を安くできます。車両保険金額が60万円と古い車ですが、免責額を10万円で自分は設定しています。
【管理人の自動車保険契約】
インターネット割引の適用
日本の損害保険業界は代理店制度が中心です。カーディーラーや自動車用品店が保険を販売。損害保険会社の営業部はカーディーラーや自動車用品店への支援が中心です。自分達では売りません。もちろんカーディーラーや自動車用品店には販売手数料が支払われ、契約者はその手数料込みの保険料を支払います。時代は直販モデルです。直接損害保険会社から商品を買えば、販売手数料を契約者が負担する必要はありません。
2020年5月時点でインターネット割引を提供している主要な自動車保険会社の割引金額(割引率)は図表のとおりです。保険料の区分毎に細かく決められているので自分の保険料を確認したうえで検討が必要です。
保険会社名 | 新規契約 | 継続契約 |
チューリッヒ保険 新規最大20,000円割引 |
150,000円以上→20,000円割引 100,000円以上→15,000円割引 60,000円以上→14,000円割引 45,000円以上→13,000円割引 30,000円以上→8,000円割引 30,000円未満→3,000円割引 |
45,000円以上→5,000円割引 30,000円以上→4,000円割引 30,000円未満→2,000円割引 |
ソニー損保 新規10,000円割引 |
10,000円割引 | 2,000円割引 |
イーデザイン損保 新規10,000円割引 |
10,000円割引 | 10,000円割引 |
アクサダイレクト 新規最大20,000円割引 |
割引前の保険料により変動 130,000円以上→20,000円割引 |
割引前の保険料により変動 110,000円以上→5,000円割引 |
三井ダイレクト 新規最大10,000円割引 |
4,000~10,000円割引 割引前の保険料により変動 |
3,000円 |
衝突被害軽減ブレーキ割引の適用(ASV割引・AEB割引)
2018年から導入された割引制度です。発売年月から約3年以内という縛りがありますが、9%という大きな割引が得られます。実際問題追突を防止するだけで事故は大幅に減ります。請求がある事故の半分は追突事故です。自動ブレーキが作動し追突を防止できれば事故は起こりませんので、保険会社は保険金を支払う機会がなくなります。その分保険料に還元されるのです。
発売年月から3年が経過するとこの適用はなくなりますが、その時点では保険料自体がやすくなっていますのでガッカリしなくても大丈夫です。3年間の間で事故情報が蓄えられ、この自動ブレーキがついたこの車種なら事故が少ないという事で、車種の事故リスクに基づいた保険料を負担する仕組みになっています。
以前は年間で120万人近くだった交通事故の死傷者数も、2019年は46万人。半分以下になりました。飲酒運転厳罰化の法整備が進んだり啓蒙活動の影響に加えて、自動車技術の進化の結果が出ています。車を買うなら衝突被害軽減ブレーキのついた車です。